私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 秋奈が駆け寄っていくのを、慌てて追いかけて行く。

「怒らないであげてください。さとしくん1人で待ってて、我慢できなくなって泣いてたんです」

「あんたが余計なことしなきゃ、待ってられたわよ!!それに、あんな派手な呼び掛けして、バカにしてるの!?」

 やっぱり、めんどくさい奴だ!!

 秋奈の隣に並んで、母親に向き合う。

 子どもはすっかり怯えてお母さんの後ろで呆然としている。

「呼び方に配慮しなかったことは、申し訳ありません。…でも、さとしくんは泣いていました。それを黙ってほっとけってことですか」

「口答えするんじゃないよ!!志季だかなんだか知らないけど、不良のやってることでしょ!不良が出しゃばってるんじゃないわよ!!」

 その言葉に反応したのは俺だけじゃないだろう。

 でんじいちゃんの手伝いをしていた大貴も、タコ焼きをパックに入れてたたーさんも、日真里も、他の奴らも、志季だけでなく、店主からの視線も鋭くなる。

 俺が不良だってののしられるのは許せる。実際にそうだから…。

 でも、秋奈は違う。

 秋奈は優等生そのものを描いたような子だ。

 そんな秋奈を侮辱するなんて許せない…!
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