私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「秋奈、ごめ…」
「最初に謝るのは誰に対して?私じゃないでしょ」
険しい表情の秋奈に、視線を殴った奴に向ける。
どこか怖がるような目で俺を見るそいつは、完全に頭の血が冷えたようだった。
「…悪かった。やり過ぎた」
「いや、こんなとこで取っ組み合いした俺のせいだ。…あんたも、怖がらせて悪かった」
「こっちも、仲間が手出してますから。気にしないでください」
立ち上がった秋奈は、殴った奴に手を差し伸べて、立ち上がらせる。
もう1人も目を覚まして、秋奈に助け起こされた。
「ここは、多くの通行人と買い物客がいます。その中には、お年寄り、幼い子どもたちもいる。やり方は手荒かったのは認めるけど、周囲を巻き込まなかったこととして理解してほしい」
「あぁ、分かってる」
「あんたらが志季か。俺らみたいなのがいるんだろ?」
「もちろん。筆頭がここに」
「なるほどな…」
指さされたのはもちろん俺で、2人とも顔を引きつらせてた。