私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋奈、ごめ…」

「最初に謝るのは誰に対して?私じゃないでしょ」

 険しい表情の秋奈に、視線を殴った奴に向ける。

 どこか怖がるような目で俺を見るそいつは、完全に頭の血が冷えたようだった。

「…悪かった。やり過ぎた」

「いや、こんなとこで取っ組み合いした俺のせいだ。…あんたも、怖がらせて悪かった」

「こっちも、仲間が手出してますから。気にしないでください」

 立ち上がった秋奈は、殴った奴に手を差し伸べて、立ち上がらせる。

 もう1人も目を覚まして、秋奈に助け起こされた。

「ここは、多くの通行人と買い物客がいます。その中には、お年寄り、幼い子どもたちもいる。やり方は手荒かったのは認めるけど、周囲を巻き込まなかったこととして理解してほしい」

「あぁ、分かってる」

「あんたらが志季か。俺らみたいなのがいるんだろ?」

「もちろん。筆頭がここに」

「なるほどな…」

 指さされたのはもちろん俺で、2人とも顔を引きつらせてた。
< 110 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop