私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「黒狼が飼われたのは、あんたってわけだな」
「こくろう?飼われた?」
秋奈は何言ってるのかさっぱりと言った様子だ。
でも、聞いた本人は気にせずに、俺を見てそうだろと言うように片眉を上げてくる。
くっそ、まだその通り名顕在してんのかよ。
「どんな屈強な奴かと思えば、ケンカも知らないようなアマだったとはな」
再び秋奈に視線を戻したそいつは、秋奈に手を差し出した。
「俺は、直斗(なおと)。あんたについて行きたい」
「…つまり、志季に入りたいってことですか?」
「あぁ。あんたの人柄を見てみてぇしな」
おいおい、まじかよ!
よりにもよってなんか俺のこと知ってそうな奴…。
「秋奈!他のメンツにも聞いてみないと…」
「こいつの決定が通らなかったことないだろ」
「で、でも…」
「夏は不満?」
「え…そ、それは…」