私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋」

「どうしたの、瞬」

「これ、わかんねぇ」

「これ?えっと、これは…」

 女子の輪にも臆さずつっこんでいくのは、秋奈の1番の友達の瞬桜。

 他の子の話もそっちのけにして、秋奈は瞬桜に向き合う。

 そんな2人に周囲の女子はそれぞれの席に戻っていく。

 それを見て、少し心がざわめくのが止んだ。

 瞬桜と、夏樹はいい。

 2人は私を邪魔者扱いしないから。

 でも、あの秋奈の前の席の人は嫌。

 他の女子も、男子も嫌。秋奈に近づいちゃ、嫌。

 でも、それを殺す。

 秋奈にこんな黒いの見てほしくない。

 秋奈はみんなの秋奈なんだ。私だけのじゃない。

 だから、私はこれを殺すんだ。
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