私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「ねぇ、小森さん」

 昼休み、秋奈がいない時にやっぱり来た。

 瞬桜も秋奈と一緒に図書室だ。だから、来たんだ。

 顔を上げれば、当然のようにそこにいるのはクラスの女子たち。

 筆頭はバレー部の次期主将。

「あんたさ、秋奈ちゃんに迷惑かけてんのわかってんの?」

 秋奈はたくさんの人から必要とされてる。

 でも、秋奈は基本的に瞬桜が優先で、他の部活は平日以外顔を出す事なんて滅多にない。

 腹いせ。

「あんたのせいで、秋奈ちゃんは動きたくても動けないの。いい加減に分かってよ」

 どっちが。

 秋奈はこの子が嫌いだ。この本性を知ってる。

 だから、嫌な人には近づかない。無意識に遠ざかろうとしてる。

「黙ってないで反論したら?」

「…別に」

「お前、私たちをおちょくってんの!?」

 勝手にヒステリックになるやつら。

 やかましい。

 こいつらが秋奈に付け入ろうとするなんて、滑稽。
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