私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「違う」

「…そう、ねぇ六花。ありがとね。友達になってくれて」

「…私のセリフ」

「ううん。私さ、こんな威張れる性質じゃないの。でも、こうしなきゃ私多分断れない。だから、作ってるんだ」

 秋奈の弱音。初めて聞いた。

 秋奈は苦笑して、自分の手を見てる。

「ただ、春のためだった。春が試合で勝つのを見るのが好きだった。それだけ。他は何にもないの」

「…瞬桜だと、思ってた」

「瞬は中学の時に会ったんだ。今とそう変わらなくてね。瞬はいつだって味方でいてくれる。私の支えになってくれてる」

 甘えてばっかりじゃダメなのにねって、秋奈は言った。

 でも、秋奈がそんなこと言ったら、私、秋奈に甘えてる。

 ちゃんと話さなくても、秋奈は怒らないで普通にしてくれる。甘えてるのは私なのに。
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