私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
リビングに入ると、姉ちゃんは母ちゃんに張り付くみたいにくっついていて、母ちゃんは慣れたように準備してるけど、何となく動きにくそうだった。
「秋奈、おいで」
父ちゃんが呼ぶと、姉ちゃんはすぐに父ちゃんの腕の中に飛び込んだ。
時々姉ちゃんはこうなって、しばらく動けなくなる。
こうなり始めたのは中学に入ってから。
それまでは、こんなことなかったのに。
「秋奈、大丈夫よ。春馬も怒ってないわ」
全員分のご飯とお味噌汁を持ってきた母ちゃんが姉ちゃんの頭をぽんぽんって撫でると、姉ちゃんは俺をチラッと見て、恐る恐る俺の隣に座った。
俺がこうさせた…?
「いただきま~す」
父ちゃんの掛け声で、何となく食べ始める。
でも、姉ちゃんはまだダメなのか全然進まない。
「春馬、練習ちゃんとやれてるか」
「やれてるよ。うるさいな…」
父ちゃんの言葉に答えると、あからさまにビクッてなる姉ちゃん。
…俺喋るだけで怖いのか…?
そんなに、俺が姉ちゃんを追い詰めて…。