私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「いいのか、春馬」

「…なんで」

「当たり前だろ。いつも怒鳴ってくる弟の大会なんか、行きたくないに決まってる」

 父ちゃんの言葉がグサって心に突き刺さる。

 そりゃ、そうだよな。

 あんなに怖がってるのに、わざわざ行きたくないのかもしれない。

 でも、我が儘って言われても、姉ちゃんには来てもらわなきゃ。

 見守ってくれるだけでも、いるだけでもいいから、いてくれなきゃ。

 俺が勝ちたいって思うのは、姉ちゃんが笑ってくれるからなんだ!

「ごちそうさま!」

 急いで食べ終えて、食器を流しにぶち込んで階段を駆け上がる。

 姉ちゃんの部屋の前に立って、少し深呼吸。

 怒鳴ったりしない。怒ったりしない。

 ただ、来てほしいって言わなきゃ!
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