私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「いいっすよ!かっこよく撮ってくださいね」

 俺の意向は無視か!

 肩に手をまわしてきた亮佑に諦めて、仕返しのように首を絞める勢いで肩に手をまわしておいた。

 ちょうど切り替えられたのか、姉ちゃんはビデオカメラを俺たちに向ける。

「1、2の3」

 カシャッと音を立ててシャッターが切られる。

 撮った写真を、姉ちゃんは満足そうに見てた。

「お前ら、先輩にあいさつもなしか!!」

「「っだ!!?」」

 いってぇ!後頭部にげんこつが落ちてきた…。

 振り返れば、あきれ顔の顧問と、瞬桜さんが俺たちを睨んでた。

「永井先輩!ひどいっすよ」

「あいさつが先だろ。親御さんもそろい始めてるのに、部長と副部長が醜態さらすな」

「すみませんでした。顧問とお話しされていたので、邪魔しては悪いと思って」

 瞬桜さんの顔は完全にOBとしての顔だ。

 中学時代は主将として活躍した瞬桜さんは、誰よりも礼儀に厳しかった。

 怒られるのも当然だ。

「瞬、春ちゃんたち私が1人だったから…」

 姉ちゃんがフォローしてくれたおかげで、瞬桜さんの怒気は少し仕舞われた。

 全員着替え終わってるし、親さんも大体そろってる。

 このままあいさつ言っとくか。
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