私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
携帯を返して、3年の控えの奴が会場の外に出て行く。
5分くらいして、瞬桜さんに引っ張られて戻ってきたらしい姉ちゃん。
少し顔色が悪いのは、食べた直後に走ったせいかもしれない…。
「姉ちゃん、テーピング…」
「待って、は、吐きそう…」
少し呼吸を落ち着かせた姉ちゃんは、すぐに亮佑に駆け寄って貼ってあった湿布をはがした。
「うわ、痛そう…」
「試合、行けますか?」
「…たぶん、出たら悪化するよ」
「いいです!次出れるだけでも!」
「分かった。でも、明日は出ないって約束ね」
姉ちゃんの言葉にすぐに返事をした亮佑に姉ちゃんは笑って、ウエストポーチから茶色のテーピングを出して、亮佑の足を固定していく。
時々痛い?と聞きながら素早く巻かれたテープは、やっぱり少し変わっていて、姉ちゃんの独学さを象徴するみたいだ。