私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 先鋒の亮佑は何とか1本をもぎ取って、次につなげた。

 でも、終わった途端に立てなくなって、少し情けない姿で下がった。

 その後は次鋒と中堅を取られ、副将はこっちがとった。

 残るは大将戦。今までで1番の緊張した空気が流れる。

「宮田、頼んだぞ」

「分かってる」

 亮佑が体張って繋げたんだ。絶対に負けらんねぇ。

 相手から出てきたのは、俺と同じく全国区でも活躍するやつ。

 亮佑を抜いて、俺と張り合える奴はこの市でこいつだけだ。

 相手と同じスピードで中に入り、竹刀を構えて一度腰を落としてから立ち上がる。

 息が詰まる。嫌な汗がつたっていく。

 今日1番の緊張だ。でも、ぜってぇ負けねぇ!

「っめーん!」

 いきなりかよ!寸でのところで当たらなかったからいいものを…。
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