私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
何とか優勝を勝ち取った結果。
でも、亮佑は表彰台にも立てなかった。
閉会式が終わって、観客席で待っていた親さんたちにお礼のあいさつをして、それぞれ帰宅準備をする。
更衣室が空くまで待機だ。
「春ちゃん、先帰るね」
「分かった」
肩をつつかれて振り返ると、姉ちゃんがいて、瞬桜さんは出入り口のあたりまでもう行ってた。
姉ちゃんもそのあとを追いかけていく。
「…姉ちゃん!」
「え?」
「今日、ありがと!」
目の前でちゃんと言えるかわかんないから、少し遠くにいる姉ちゃんに叫ぶように言う。
目を丸くさせた姉ちゃんは、不意にニコッと笑って、瞬桜さんのもとへ駆け寄っていく。
…姉ちゃんなのに!何だよドキッて!
確かに、かわいかったけど…!
「ヒュ~♪秋さんに見とれてやんの」
「ッうるせぇ!!」
茶化してきた亮佑を、足に負担がいかないようにしながら反撃しといた。