私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋奈、どうしたの?らしくない」

「ううん。なんでもない。ぼーっとしてるの見つかっちゃった」

 理紗が少しだけ振り返ったけど、すぐに視線は参考書に戻る。

 はぁあ。ついてないや。

 必要な筆記用具だけ机に残して、机の中も空なのを確認。

 課題も机に残してかばんとその他もろもろを全部ロッカーに詰め込んだ。

「用具しまえ~。携帯確認しろよ~」

 テスト監督の先生が教室に入ってきて、みんな最後の詰め込みをやめてテストの準備をする。

 席に戻ってパラパラと課題を見て、すぐに閉じる。

 全員が席に着き終わると、先に課題が後ろの席から回ってきて回収される。

 それが終わると先生がテストを配る。

 目の前に問題用紙と解答用紙を用意されて、チャイムが鳴るのをひたすら待つ。

「はじめ」

 チャイムが鳴ったと同時に先生の号令もかかって、一斉にプリントをめくる音が教室を包む。

 45分間のテストが始まった。
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