私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「永井くんなんか機嫌悪い?」

「うん。何かわかんないけど…」

「ふぅん…。ねぇ秋奈、永井くんのことどう思ってるの?」

「え?」

 理紗はどこか真剣な目をしていて、その視線も何となく怖かった。

「どうって…瞬はいつも助けてくれる…お兄ちゃんみたいで…」

「好きじゃないの?」

「好きだよ。…友達として」

 なぜかその言葉を付け加えなきゃいけないみたいで、理紗の視線は急に柔らかくなる。

「そっか。ならいいんだ。永井くん、テストで失敗しちゃって機嫌悪いだけだって」

「…う、うん」

 なんでだろう。怖いなんて、瞬にも、理紗にも思ったことなかったのに。

 なぜかこの時だけは2人がとてつもなく怖い人のように感じた。
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