私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋、何してんだ。早く入ってこい」

「は、はい…」

 瞬怒ってる…。

 袴姿似合ってるのに、顔が怖いから思いっきり師範だよ…。

 靴を脱いで道場に上がる。

 瞬は袴姿で、小脇に風呂敷で包んだ何かを持ってた。

 それをいきなり投げてくるから、慌ててキャッチする。

「え、なに?」

「着替えてこい」

「え?」

「いいから!3分以内!」

「はい!!」

 竹刀を向けてきた瞬に慌てて道場を飛び出して女子更衣室に行く。

 もう、いきなりなんだってのさ!

 風呂敷を解くと、中から袴が出てきた。

 瞬のなんて着れないのに…。でも、遅くなったら瞬また怒る…。それはやだ!

 急いで袖を通してみると、あれ、ぴったり?…これ中学の時のかな?

 わざわざ取っておいてるんだ…。

 久しぶりの袴は何となく緊張する。

 瞬、まさか試合しようなんて言わないよね…?

 いやいや、ないない。…ないことを祈ろう。

 荷物をまとめて、一緒に持って道場に戻った。
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