私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 道場に戻ったら竹刀を2本も用意した瞬が待ってた。

 荷物を置くなり竹刀を投げ渡される。

「秋、6割でやれ」

「ッ!?や、やだよ!瞬、嫌だ…」

 腕を引っ張られて無理矢理試合を行う範囲に引きずり込まれる。

 嫌だよ。怖い、あんな状態の瞬とやりあえば、私は…。

「瞬、嫌だ。やりたくない。嫌だ!」

「…なら、無理矢理引き出させる!!」

 少し距離を置いた瞬が構えるなり、切り込んでくる。

 それを慌てて受け止めるけど、重い…。

 1撃では収まらず、2、3撃と次々に打ち込んでくる瞬の斬撃は重くなるばかりだ。

「秋!」

「ッ…いや!!」

「…」

 瞬の目の色が変わる。

 次の瞬間、私の手から竹刀は離れ、宙を舞う。

 無防備なその状態で、振り下ろされる竹刀をただ、見つめた。
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