私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 そこからは通常の練習に戻って、私も制服に着替えて見学する。

 帰ろうとしたら瞬が防具付けたまま止めに来て、結局帰れずじまいだ。

 志季の様子見がてら、人手不足だろうから入りたかったんだけどなぁ…。

 練習何時まで何だろ。

 そんなことをぼーっと考えながら待っていると、ポケットに入れてあった携帯が震える。

 夏からメールだ…。なんだろ。珍しい…。

『いつ来れる?ちょっとヤバいことになってる』

 あっさりとしたメールだけど、ヤバいことって何…。

 練習の様子を見ながらこっそり外に出て、夏に電話する。

 メールじゃ、よく分からないし…。

 数コールの後、電話がつながる。

「もしもし、夏?ヤバいことってどうしたの?」

『…俺らがいない間に窃盗があったらしい』

「窃盗?結構ひどいの?」

『それが…』

 なぜ口ごもった夏は、言葉を探しているようなそんな感じで、嫌な予感がする。

 電話の向こうから代われと誰かの声。

 何か言葉を交わした後に、電話の相手が変わった。
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