私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
犯人捜し
商店街に着くと、心なしか全体の雰囲気が少し暗い。お客さんも少なく感じる。
そして何より、商店街を駆け回ってる名物の黒ジャージの姿はどこにもなかった。
「お、秋奈、瞬桜お疲れさん」
「たーちゃん、ありがと!…ねぇ、みんなどこに」
「あぁ…たまり場で待機させてるらしい。とりあえず親父さんのところに行った方がいいと思う」
「分かった。ありがとね」
たーちゃんに手を振って、とりあえずお父さんのいる八百屋に向かう。
店を覗くと、夏樹と六花が店番していたみたい。
「秋奈…」
「お父さんたちは?」
「奥で話してる」
「親父さん!秋奈と瞬桜戻ってきました!」
夏樹の声に、店の奥の襖が開いて、険しい表情のお父さんに手招きされる。
私と瞬桜だけじゃなく、夏樹と六花も呼ばれて、店番は代わりにお母さんが出る。