私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 ミートさん…お肉屋さんのところはショーケースになっていて、客が勝手に持って行ける商品は全く置いてない。

 更に言うなら、お金をもらってから商品を渡すから、万引きなんてまず無理だ。

 たーさんのたこ焼き屋さんだってそう。

 お金は手渡しだし、勝手に取られるような商品も置いてない。

 だとすれば、もう内部しか考えられない。

 …そういうことになってしまう。

「被害ってどれくらい出てるの?」

「被害でてねぇのはみやさんとことでんじぃのとこ以外全部だ」

「まぁ、万引きされてる店もあるのかもしれねぇけど、でも千円単位じゃなくて、万単位で取られてる。チョコばぁの店で、5万の万引きは考えらんねぇだろ」

「そんなに…」

 瞬も絶句する。

 夏樹と六花はもともと聞いていたのか、驚いた様子はなかった。

「…何日に被害出て、誰がローテ入ってたか分かる?」

「GW明けてから、初めが大田のとこ。ミートのとこが最後だな。確か、5月13日。ローテは、誰だっけ?」

「あぁ…わりぃ、新人かわかんねぇけど、名前覚えてねぇ」

「完全に俺らがいない時からっすね…」

 瞬の言う通り。私たちがテスト週間に入って休んでる間だ。

 それも、みんなが名前を憶えてないと来た。

 おおよその見当は付いてるとは思うけど、あえて犯人捜しをやらなかったのは、私たちに任せようとしてくれたから。

 窃盗犯、捕まえて志季の信用を戻さなきゃ。

 …そして、これからのことも考えないといけない。

 瞬と夏を見て、お父さんたちに視線を戻す。
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