私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「で、秋奈がわざわざこのメンバーだけ招集したってことは、なんかヤバいことでもあったってことだよね」
「最近志季の活動休止にもなんか関係あんだろ?」
ノンタンとトーマスの言葉に頷く。
ひまっちとさーちゃんも真剣な顔で話を聞いてくれる。
4人に、さっきお父さんたちから聞いた話をほぼそのまま伝える。
話し終えた時の4人の顔は、完全に険しいものだった。
「あきなっちたちが休んでる間出てたのって誰だっけ?」
「日付によって左右するが、活動休止までフルで出てたのは、俺とあと5人くらいだな」
ひまっちの言葉にすぐ答えたのはトーマス。
通信で高校行ってるから、トーマスはほぼ活動に参加してる。
暴走族の総長さんだったこともあるから、みんなのことをほんとによく見てるんだ。
「5月13日、ミートさんのとこに入ってたのは?」
「誰も入ってねぇ。テスト期間は人手がねぇから、店にはほとんど人置かねぇ。忙しくなったら、臨機応変に入ることになってる」
「じゃあ、トーマスの目から、変な動きしてた子、いる?」
考え込むように顎に手を当てるトーマスは、首をかしげてしまった。
「…変な動きとかは、わかんねぇな。…でも、金に困ってる奴がいる」
「それ、誰?」
「尾木、だったはずだ」
「尾木?1か月前に入ったよね」
さーちゃんの言う通り。