私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
尾木(おき)くんは、1か月前に突然現れて、志季に入れてほしいと言ってきた子。
家が遠いのか、いつも駅からやって来て駅から帰ってる。
特に目立つこともなく、こつこつ働いてる子。
尾木くんも高校に通ってないから窃盗犯の犯人には十分当てはまる。
「その尾木くん、下にいたよね」
「あぁ、活動休止からも毎日来てるぞ」
「…活動再開しよう。で、この8人で尾木くんを含めた5人をマークする。店番には私たちの中で2人1組にさせる」
「それがいいだろうな。下手に問い詰めるとしらばっくれる」
不良の代表格、トーマスの賛成に反対する人はいない。
はぁ、なんか気が重いな…。
「あきなっち、トーマスも監視対象に入れといたら?」
「あぁん?日真里、ケンカ売ってんのかぁ?」
「乙女を殴るなんて最低だよ。トーマス♪」
「うっせぇ!じゃじゃ馬が、何をぬかして乙女だと!?」
「じゃじゃ馬!?失礼にもほどがあんでしょ!?」
「はいはい、マジでケンカすんな~」
トーマスVSひまっち、さーちゃんの戦いに夏が呆れながらも仲裁に入る。
ノンタンは笑ってて、瞬はあきれ顔。
初めは、8人だったんだよね。何となく手伝い始めたの…。
みんなが信じてくれて任せてくれてるんだ。窃盗犯、絶対に許さないんだから。
わちゃわちゃし始めた争いに、飛び込むと、一瞬で収まって、ちょっと残念。
だけど、重くなった空気が少しだけ軽くなった。