私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「うわぁ~ん」

「あ、迷子…」

「よし!肩車してやろうぜ!秋奈、行くぞ!」

「うん!」

 大貴がまっすぐに泣いてる男の子に駆け寄っていく。

 すぐに泣き止んだ男の子は、大貴の肩車にご機嫌になったみたいで、きゃっきゃと笑ってる。

 すぐにお母さんは見つかって、また巡回に戻る。

「大貴、志季のこと好き?」

「は?あったりまえだろ!俺の居場所なんだからな!」

「…そうだよね」

 犯人捜しなんかしたくないけど、ここを居場所にしてくれてる子がいるんだ。

 志季がなくなったら、居場所を失くす子がいるんだ。

 だから、ちゃんとけじめをつけさせないといけない。

 決意を新たにして、顔を上げる。

 そうだよ、志季を守らなきゃいけないんだ。

 その後も大貴と巡回を続けて、無事にその日を終えた。
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