私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 2人で商店街の方に戻ると、志季の子たちの表情が暗い。

 ひまっちとさーちゃん、六花が事情を簡単に説明し終わったらしい。

 だから、みんなの表情は暗かった。

 大貴が駆け寄って来るけど、いつもの元気な顔が今は暗い。

「秋奈、尾木が…」

「うん。これから事情聴く。こっち任せるよ」

「…分かった。…なぁ、志季、なくならないよな!」

 悲痛な叫び。多分、みんなの気にしてるところはそこなんだろう。

 やっと出来た居場所なんだって笑顔で話してくれる子もいた。

 だから、志季がなくなってしまう恐怖が強いんだと思う。

 だから、その不安を消すように笑う。

「大丈夫だよ。志季はなくならないから」

「ほんとか?」

「うん。約束する。だから、みんなも!こんなこともう起こさせないよ!いいね!!」

「「「おう!!」」」

 どこからともなく聞こえてきた声。

 その返事に思わず笑ってしまう。
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