私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「姉ちゃん?と瞬桜さんこんちわ!」

「え?…は、春ちゃん!…と亮祐くんと、その子はどちら様?」

「なんだ春馬か」

「秋奈さんひっでぇ…」

 後ろを振り返れば、学校帰りらしい春ちゃんと亮祐くん、あともう1人知らない子がいた。

 亮祐くんにごめんってして、春馬に顔を向ける。

「どうしたの?珍しいね。商店街来るなんて…」

「あ~うん。姉ちゃん、志季に尾木さんっている?いくつだっけ」

「18っす!」

「だって」

 知らない男の子に視線を向ける。尾木さんって、志季の中に尾木くんなんて1人しかいない…。

 瞬と顔を見合わせて、視線を春馬たちに戻す。

「いるけど、どうかしたの?」

「あの!兄ちゃんがいつも世話になってます!」

「へ?」

「尾木さんの弟。今1年なんだけど、なんか今日家の鍵忘れたらしくて入れないだってさ」

 尾木くんに弟?というより、春馬と同じ中学ってことは、尾木くんなんで電車でここまで…。

 嫌な予感がして、瞬に視線を向けると、瞬も同じことを考えてたのか、表情は険しい。
< 207 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop