私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋奈、無理だよ。さっきからこんなんだし。警察に渡そう」

「秋奈、お前の慈悲はこいつなんかに使ってやらなくていいだろ」

 ノンタンもトーマスも呆れた顔で、尾木くんを見下してる。

 夏も、何も言わないけど警察に渡そうと思ってる。

 瞬も、みんなも…。

 でも、多分常習犯の尾木くんが引き渡しただけで改心なんか絶対しない。

 それに、取ったお金だって戻らない。

 このまま警察に渡すのはダメだ。せめて、反省させなきゃ、意味がない。

「尾木くん、捕まるよ?いいの」

「勝手にしろ」

「言っとくけど、少年Aって匿名で終わらせないよ?知ってるよね。うちにはハッカーさんがいるって」

「はぁ?何様だよ、お前」

「何様?そうだね。私はここのリーダー様だけど?志季の中いたならわかるよね?私の言うことはここではほぼ絶対なの」

「だからなんだ」

「言葉を選びなよ。尾木。私があんたをどうするかのカード握ってんの。どうする?警察に行くよりさ、怖いとこ行く?知り合いの子がいるんだよね。二度と家族に会えなくしてもいいよ」

 襟首掴んで脅せば、少しだけ反応する。

 すぐに虚勢で隠されたけど、十分脅しは通じたみたいだ。
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