私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「…いいたいことあるなら言っていいよ」
「…なんもねぇよ」
「そう、じゃあ警察と、怖い方どっちがいい?私としては怖い人たちの方を全力で押すけど」
「…警察」
「そう、残念。…夏、瞬、連れてく」
夏と瞬に両側から拘束してもらって、尾木くんを外へ連れ出す。
尾木くんは全然抵抗しない。
やっぱり、前科があるのかな。
たまり場から外に出てたところで、尾木くんの表情が変わる。
「…兄ちゃん」
「…な、なんで…」
外で待っててもらった尾木くんの弟と、春馬と亮祐くん。
本当は、こんな風にさせたくなかったけど、もう、こうするしかない。
弟の姿を見て、初めて尾木くんの表情が変わった。
「なんで、お前がここに」
「…兄ちゃんの嘘つき」
「ッ…」
「兄ちゃんの嘘つき!!今まで持って帰ってきた金、全部奪ったんだろ!?なんでそんなことしたんだよ!!」
弟くんは泣きながら叫ぶと、大人たちの方にまっすぐ駆け寄っていく。
そして、大人たちに頭を下げた。