私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
尾木くんの家は裕福とは言えない状況で、生活に困った尾木くんがバイトを始めるも続かず、窃盗を犯した。
そこではすぐに見つかり、逮捕された。
その時高校も退学処分になり、前科がついたことでバイトに雇われなくなる。
すりや窃盗を繰り返す中で、志季の存在を耳にしたらしい。
自分と同じような、ガラの悪い子たちが活躍する場所。
すがる思いでここに来たが、バイトではないことを聞いて、逆上。
リーダーである私たちがいない隙を狙って今回の事件に発展したらしい。
どうせ不良集団。
ばれたとしても私たちに伝わることはないと思ってなかったらしい。
そして、私たちが戻ってきても、気づいた素振りがないのを見て、その話が浮上するまでやり続けるつもりだったらしい。
「志季を居場所にしてる子たちがいるの。あなたは志季の信頼を潰した。もう二度と、戻って来ないで」
「ッ…秋奈さん」
「当然でしょ。あなたは、みんなを裏切ったの」
この期に及んで縋りつこうとする尾木くんを、容赦なく切った。
ここで許せば尾木くんのためにならない。慈悲はかけられない。
駆け付けたパトカーに乗せられて、去っていく尾木くんを見送る。
残された弟くんは、ただ呆然としてた。