私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「秋奈、泣くなよ。俺はやめないからさ」
「…ノンタン」
「秋奈が俺を引っ張り上げてくれた。秋奈がいる限り、ここを出て行くつもりはないから」
「俺も、残ってやるから心配すんな。初期からいた奴らはもともと金目当てじゃねぇんだ。心配いらねぇよ」
ノンタンとトーマスは笑って、残ると宣言してくれる。
その顔は優しくて、厳ついトーマスには全然似合わない。
「あきなっち~!」
「お疲れ様!やだ、泣いてんの?尾木の奴、許さん!!」
どこからともなくやって来たひまっちとさーちゃん。ぎゅっと抱きしめられる。
「2人は、志季やめる?」
「…はぁ?何言ってくれてんのこの子は!」
「やめるわけないでしょ!?追い出そうとしても無駄なんだから!」
2人の力強い言葉に抱き着き返す。
志季のことを大事に思ってくれてる子がいる。それが嬉しかった。
今日は解散って言ったのに、4人は最後まで店には入らないけど掃除や見回りはしていてくれて、いい子たちを見つけたなってお父さんに褒められた。
だけど、本番は土曜日で、それまでの4日間は8人だけで志季の活動をした。