私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「…1抜け。信用されてないんじゃ、ここにいる意味ないし」
「はぁ!?お前まじか」
「俺も、活動時間多いのに、お金もほとんど貰えねぇし。やっぱ、普通にバイト探す」
2人が手を上げる。
その2人に近い子たちも迷いのような表情が見える。
「あと、しばらくバイト代も出ません。尾木くんが出した損失以上を返せるまでは、ないと思って」
「マジかよ…」
「そんなの、尾木のせいだろうが!やってられっか!」
「お金貰えないなら私もやめる。結構きっついしねぇ」
志季が出来てから、比較的新しいメンバーが次々に手を上げる。
迷ってるような顔も多い。
ほんとに、何人が残ってくれるか…。
「抜ける奴ら、ジャージ置いて出てけ」
「言われなくてもそうしますよ~だ!」
「はぁ、結局その程度だったってことだろ?」
ノンタンの指示にあっさり従う子たち。
背を向けて、たまり場を出て行く。
その姿はまるで、志季に入る前に戻ったみたいで、どこか寂しそうだった。