私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「ッお前らそれでいいのかよ!!」
急に残っていた子たちの方から声が上がる。
立ち上がったのは大貴だ。
出て行った子たちも外で足を止めて振り返ってる。
「確かに、納得できねぇこともあるけど…。でも!ここは俺らの居場所だろ!ここにいていいって、秋奈が言ってくれたから!だから、いたんだろ!金の問題じゃねぇ!!」
出て行こうとしたメンバーに向けて怒鳴った大貴が振り返って、私を見る。
その目はまっすぐで、決意にあふれた目だ。
「俺は残る!ここは、俺の居場所だから!」
「…ありがと、大貴」
「あの、俺も残ります!」
「匠くん…」
「俺、志季のことまだよくわかんねぇけど、ここ、楽しいんです!だから、お願いします!」
大貴と匠くんが私たちの方に来て、大貴はノンタンとトーマスの肩に腕を回して笑い、匠くんはそこに遠慮気味に入っていく。
ふと、目の前に影が出来て、見上げれば直斗さんがいた。
「いいか?」
「…お願いします」
1番新入りの2人が残る選択をしてくれたのは少し、意外だったけど、これで11人。
まだ迷っている子たちが残る選択をした子たちを前に困惑気味な顔をする。