私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 私たちの前に来た大人たちは、次の瞬間、なぜか笑みを浮かべる。

「残ってくれたお前らに朗報だ。バイト代、時給500円な」

「え?」

 バイト代…?なんで!?

 話が違うのに!!みんなも同じ思いで、呆然とする。

「お前らのおかげで商店街は息を吹き返し始めてる。なのに、やっぱ無償ボランティアじゃあな」

「え、でもバイト代はしばらくなしにするって…」

「金のためにやるような奴はいらねぇってことだ。お前らは志季自体に残ろうとした。それだけで十分だ」

「でも」

「秋奈、悪かったな。嫌な思いさせて。でもな、残ると決めたお前たちのことは、大事にしたい。だから、これからもよろしくな」

「人数増やす場合は、俺らが面接する。表向きはボランティアってことで、お前らバイト代のことは外に漏らすなよ。ここぞとばかりに戻ってくる奴らがいたら、意味ねぇからな」

 商店街の人たちも考えててくれたんだ…。

 お父さんと目が合うと、照れ隠しのように逸らされる。

 もしかして、お父さんがみんなを説得したのかな。

 きっと、教えてくれないけど。
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