私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 残ったメンバーが商店街に向かうと、店を離れられなかったみんなから祝福される。

 お客さんたちもよく分からないはずなのに、頑張ってねと声をかけてくれる。

 新生『志季』13名として、なぜか写真を取られて、商店街に貼ってあったポスターが一新される。

 あだ名まで書いてあるポスターにちょっとびっくりだ。

「お~、お前ら、これ付けろ~」

「なんですか、それ!」

 数日後、倉庫にやって来たのはだっさんこと、アクセサリー屋さんの今川さん。

 なんでだっさんかというと、アクセサリー屋さんなのに、センスが酷いから。

 なんか定着しちゃったんだよね。かわいそうに…。

 だっさんの手には大量のネームホルダーみたいなのを持ってた。

「お前らの名札だ。お客さんにも名前を憶えられてちゃ、悪いこともできねぇだろ?」

 だっさんの言う通り、あだ名が書いてあった。

 その周りには生まれた季節を表すイラスト付き。

「へぇ、だっさんにしてはきれい…」

「ああん?大貴、文句あっか?」

「い、いえ、アリマセン…」

 あはは、大貴のバカ…。

 『あき』って書いてある周りにはジャージと同じもみじの絵。

 本名じゃないところがみんなのこと考えてることなのかな?
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