私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「ねぇ、秋奈。さっき手つないでた男の子、彼氏?」
「へ?…ッち、違う!瞬は…」
「瞬くんって言うの?イケメンだねぇ」
「理紗~」
からかってくる理紗に気を取られて視線を外す。
先生が来て、体育館に行って入学式。
心臓がドキドキいって、すごく気持ち悪い。
あぁ、なんで入学生代表なんかに…。
「入学生代表、宮田秋奈」
「は、はい!」
ひぃ、ついに呼ばれた…。
がちごちの手足を何とか動かして、舞台に上がって、校長先生の前まで行く。
原稿読むだけ原稿読むだけ…。
そう念じながら、決められた作法をロボットのようにこなす。
「…ほ、本日は、私たち新入生のために、このように盛大な入学式を催していただき、まともにありがとうございます」
な、長い。怖い…。
読み終えるころには半分涙目で、なんとか役目を終える。
こ、怖かったぁ…。
自分の席に戻ってきたはいいけど、顔色が悪すぎてみんなに心配された…。