私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
商店街の近くまで来て、夏樹と別れる。
多分、手伝わされるんだろうけど。
「夏、またね」
「おぅ!瞬桜もまたな~」
「早く行け」
夏樹が駅の方へ行ったのを見て、俺と秋は家の方角へ進み始める。
いつも行きと帰りは2人になる。
なのに、なぜか秋と2人きりになるのが酷く懐かしいような気がする。
横顔を見れば、秋は鼻歌なんか口ずさんで自転車をこぐ。
『…私は、生まれる時を間違えたんだ』
秋が過去なんか思い出すからか?
俺がお前をよく見てるせいなのか、俺は秋にどうも影響されやすいみたいだ。
「瞬、ここまででいいよ」
「…秋、おごってやるから公園行こうぜ」
「…うん?」
俺の家と秋の家の分かれ道。
なんか、今離れたくないかも。