私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 その原因がはっきり分かったのは、先生がまた生徒指導で5日間部活に来れなかったときで分かった。

 模擬戦練習の前のメニューを終えて、模擬戦の練習が始まった時だった。

「宮田!のろのろすんな!!」

「すみませんっ」

「声が小さいんだよ!!」

「はい!!」

 なぜか遅れて道場に入って来た宮田は、防具をつけようとしたところで怒鳴られた。

 謝った宮田の声は絶対小さくないし、そもそもなんで遅れて入って来たんだ…?

「もういい!宮田構えろ」

「え、でも…」

「いいから早くしろ!!」

 防具もつけないままに竹刀を持たされた宮田。

 相手の先輩は防具付けてんのに。

 試合前の礼儀作法をしようとした宮田に対して、先輩は動かない。

 というか初めから試合場に入って竹刀を構えてた。

 宮田が竹刀を構え、腰を沈めた。

 その時、先輩が竹刀を振り上げる。

 嘘だろと信じられないような光景を見せつけられて体が動かない。

 宮田はそのことに気づいてない。

 少しだけ顔を上げようとした宮田の頭を竹刀が叩きつけた。
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