私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 宮田はふらふらになりながらも立ち上がったが、またすぐに倒されてしまう。

 しかも、いつの間にか先輩に囲まれて、同級の奴らにも囲まれて、袋叩きにされてる。

 そんな状況を、男子は面白がるように見ていて…。

 その日の帰り、いつのも習慣を守った宮田に声をかける。

「宮田、大丈夫なのか…」

「え?…なにが?」

「は?」

「何にもなかったじゃない。ね?永井くん、何にもなかったんだよ」

 それ以上は何も言うなと言うように、痣だらけの手を隠して、細かく震えながら宮田は「ね、何もなかったんだよ。いつも通りに練習してたんだよ」って笑う。

 自分に言い聞かせるように、宮田は必死に嘘を吐き続けていた。
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