私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「秋奈、どした?」
「…せん、ぱい?」
「ん?なんか疲れた顔してるね」
「…はは、そうですか?」
急に笑顔になった宮田は先輩に笑いかけてる。
その先輩の後ろにいる2年の先輩の睨みを視界の隅に捉えていたはずなのに。
「あきちゃん、なんか痩せた?」
「そうですか??むしろ太ったと思うんですけど」
「いやだなぁ、嫌味か?このこの」
3年の先輩にとって宮田はマスコットみたいなかわいい存在だったんだ。
そんな3年の先輩に囲まれて、宮田は安心しきった顔で甘えていた。
先輩がいればまぁ大丈夫か。
そんなことを思って視線を外す。
「ねぇ、秋奈。久しぶりにちょっとやらない?」
「…はい!」
悪夢が始まるなんて、誰も考えてなかった。
まさか、あんなことが起こるなんて、誰も…。