私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 防具をつけて向かい合う。宮田と先輩。

 あんな袋にするようなまね、先輩の前でやるわけないし。

 だから、なんか久しぶりに目の前の試合に集中した。

 おかげで動きもスムーズにできたし、負けることもなかった。

 同級の奴と向かい合ってたその時だった。

 不意に悪寒が駆け抜けて行ったのは…。

 女子の方を見ると、多分面取りで振り落されたはずの竹刀を宮田は片手で竹刀を持ち、止めていた。

「秋奈、片手外しちゃダメでしょ?」

「…」

 宮田は何も言わない。

 じっとしたまま動かなかった宮田は、突如竹刀を持ち直すとその体制のまま突きを放つ。

 驚いて咄嗟にかわした先輩だが、それを宮田はためらいなく追撃する。
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