私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋奈!試合はおしまい!」

 声をかけても宮田は止まらない。

 試合場を出ても宮田は先輩を執拗に追い詰めていく。

「秋奈!!」

「…さい」

「え?」

「うるさい!!」

 先輩の手から竹刀が弾き飛ぶ。

 両手で竹刀を構えた宮田はそれを先輩に振り下ろす。

 咄嗟に腕で庇った先輩の腕に、竹刀は振り落された。

「ッ…」

 声にならない叫び声と、嫌な音が耳に入ってくる。

 さらに打ち込もうとして構える宮田に、間に入って止めたのは2年の、宮田をいじめてた主犯の先輩だ。

 だが、明らかに先輩の方が押されてる。

「宮田!何してんだ!!」

「…」

「聞いてるのか!!」

 宮田は答えない。

 それどころか先輩を押しながらも片手を離し、面を取ろうとする。
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