私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
約束の場所 瞬桜side
あの事件から1か月。
あの日、病院で意識を取り戻した宮田は目が覚めるなり、謝ってきた。
今までどんなにいじめられても泣かなかったのに、ごめんなさいと謝りながら泣き続けた。
今までのいじめと暴行のせいで全治3か月の怪我。
自宅でしばらく療養するらしい。
先輩は腕の骨にひび入っていて、全治1か月。
宮田は止める看護師を振り切って先輩に謝罪し、土下座までした。
でも、先輩は宮田を責めることはなかったし、顧問から2年からのいじめのことを聞いていたらしく、宮田に謝ってた。
2年の先輩たちは宮田の家に謝罪に行ったけど、母親に門前払いされ、謝ることもできないまま。
それは同級の奴も同じで、俺もあの日以来宮田と顔を合わせる機会もなかった。
でも、いつの間にか部員名簿から宮田の名前は消え、クラスでも、宮田の席が埋まることはなかった。
1年だけの練習はたるい。
顧問が相手になってくれる分だけ、ましだけど。
朝も帰りも同じだった宮田がいない。
それが何となく寂しかった。