私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「はぁ、マジでうざい」

「いつまで被害者ぶってんのって話だよね」

 そんな聞きたくもない愚痴が聞こえてきたのは、春休みに入った頃。

 女子部員はあれからずっと宮田の家に謝罪する機会を求めて担任から任されるプリントを家まで持って行っていたはず。

 だけど、何度行っても母親が出てくるだけで、門前払いが当たり前。

 父親が出てきた時なんかはもう来るなと怒鳴られることもあるらしい。

 それでもあいつらは家に行っていたはず。

 謝らなきゃ、後味が悪いってこともあるんだと思う。なのに、ついに愚痴を吐き出した。

「大体さ、私たち先輩に言われて仕方なくなのになんであんなに言われなきゃいけないわけ?」

「だよね。好きでやったんじゃないし」

 なら行かなきゃいいだろ。お前らが自ら望んでその役を引き受けたくせに何言ってんだ。

 だんだんイライラが募って来て、竹刀を握る手に力が入って行く。
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