私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
次に行ったときは、宮田はお礼と言ってジュースをくれた。
また少しだけ話して、ドアは閉まる。
少しずつ話をする時間が増えていく。
玄関先に座り込むこともあった。
だけど、ドアのチェーンだけは外れないままだった。
2年が終わる。
春休みの部活帰り、プリントもないのに宮田の家に向かった。
最早習慣づいたコースをただ歩いただけなのかもしれない。
だけど、プリントもないのに宮田の家のチャイムを押す。
チェーン付きのドアが開いて、宮田が顔を出す。
だけど、いつもの封筒がないことに首をかしげた。
「なぁ、宮田。ちょっと出ないか?」
「え…?」
明らかに戸惑った顔を浮かべた宮田は、しばらく考え込んだ後、ドアを閉めた。
やっぱ、直球過ぎたかもしれない。
少し後悔していたところに、金属の触れ合う音が聞こえる。驚いて顔を上げると、チェーンが外されたドアが開いて、宮田が顔を出す。
少しだけ怖がるように、ドアに張り付いたまま、宮田はチェーンがついたままの隙間だけドアを開けて俺を見てる。