私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

 何となく、手を差し出すと恐る恐る手が伸びてくる。

 宮田の手を掴んで、外に引っ張りだす。

 簡単に外に出てきた宮田は、やっぱり少し戸惑ったように俺を見てきていて、なんとなくかわいいなんて思った。

「散歩、するか」

「…うん」

 宮田と歩くのはいつぶりだろう。

 まだ少し肌寒い風を受けながら向かったのはこの辺じゃ大きくて有名な公園。

 他の運動部が走りに来ることもある公園だ。

 その公園のベンチに並んで座って、少しぼんやりする。

 連れ出したのはいい。

 だけど、その後のことを何にも考えてなかった。

 何を話したらいいか分からなくて、黙り込む。

 公園で小さい子どもが遊んでて、親はそれを見守ってる。

「帰っていい?」

 何の前触れもなしに放たれた言葉。

 まだ話してないのに帰せるかよ…。

「まだダメ」

 即答したはいいけど、ほんとに何を言えばいいんだろ…。

 宮田はうつむいて足をぶらぶらさせてる。
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