私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「…なぁ、前に言ってた、お前が怖がってるのって何?」

「…永井くんは、見たでしょう?」

 やっと口に出せたのは、そんなことで、宮田は少し迷った後、諦めたようにつぶやいた。

 見た…。

 思い浮かんだのは豹変した宮田の姿だった。

 あの時、宮田は完全におかしくて、先輩たちを確かに切り伏せて行っていた。

 まさか、あのことなのか…?

「血筋なんだって。あれは、ずっと昔からお父さんの血筋の中にいる」

「血筋…?」

「…昔、昔。まだ侍が闊歩していた時代の、人切り。またを戦場の処刑人。その怨念が私たちの血筋に受け継がれてる」

「子孫ってことか?」

「ううん。おじいちゃんが言うには、その人切りが唯一殺し損ねた…殺せなかった人の子孫なんだって」

 漫画の中みたいな話。

 だけど、何となく納得がいったのは、殺戮を楽しむような顔をした宮田を見たからかもしれない。
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