私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「お父さんは次男。だけど、怨念は私に憑りついた。1番ビックリしてたのは、おじいちゃんだった。いつもは、男が受け継ぐんだって。でも、私の中に怨念は入って来た」
「…宮田が剣道出来たのは?」
「怨念に流されないよう、精神を鍛えるためにおじいちゃんが」
「初心者って言ってなかったか?」
「剣道自体に重きを置いてなかったから、初心者とそう変わらないよ」
「…それは、いつも出てきてるのか?」
宮田は首を振る。
ただ、竹刀を握ると自然とそれは目を覚ますらしい。
そして、自分が不利な状況に陥るたびにそれは表に出てこようとする。
宮田が強かったのは、それを抑えるために勝つしかなかったからだった。
「あの時は、いろいろ限界で、先輩の振り下ろす竹刀を見てたら、飲まれた」
「…いつも押さえてたのか?」
頷いた宮田は、うつむいていた顔を上げて、ぼんやり空を見上げる。
つらそうな顔を隠して、ほぼ無表情に近い…。