私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
少しの不満 瞬桜side
なんか懐かしいこと思い出したな。
秋を見ると、秋も丁度俺を見てて、ちょっと笑える。
「ん?」
「いや、中学の時、全国連れてくって約束したなって」
「…そうだったね。瞬、本当に連れて行くんだもんびっくりした」
「俺はお前の手当に驚いたけどな」
全国の準決勝の試合で足をひねった俺は、流石に無理かと諦めかけた。
でも、秋がテーピングしてくれて、驚くほど簡単に動けたんだ。
秋のおかげもあって、無事に全国制覇できたわけだ。
「絶対、勝ってほしいって思ったから」
「ありがとな」
「ううん。瞬がいてくれたから私、高校にも通えたんだよ。だから、ありがとう」
「…なんか照れくさ」
「だね」
何となく笑って、あっついと言って立ち上がる。
帰るかと笑って、今度こそ秋の家に向かった。