私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「…瞬、おかえり」

「…ただいま」

 ぶすっとした声だけど、ちゃんと返事してくれた。

 でも、肩に回った腕はそのままだし、不機嫌な顔できよにぃを睨むのもそのままだけど…。

「で、瞬。嫁返せ」

「「だれが嫁だ!!!」」

 なぜかお父さんと瞬の声が被る。

 何してんだろうねぇ…。

「冷たいなぁ。地元に帰って来たのに」

「帰ってくんな」

「卒論いいんですか?」

「親父さんひでぇ。あと瞬、俺は卒論のテーマ集めで帰ってきた」

「テーマ決まったの?」

「おう。お前ら志季と、商店街の経済状況って感じでやることにしたわ」

「そんな単純に決めていいの?」

「いいんだよ。こんなケース稀だしよ。教授も気に入るだろ」

 きよにぃは経済学部に通ってるけど、専門は地域経済みたいな感じらしい。

 駅裏商店街を存続させていくために勉強しに行くんだってかっこよく話してくれてたんだよね。
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