私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)
「私がここの顔だっていうならね。直斗さんだってここの顔なんだよ?自分が志季のメンバーだって自覚ある?」
「あるから、仕事してるんすけど」
「ちゃんとやってない人が何を言う!志季の活動の本分は接客!それを全部避けてる直斗さんに偉そうに説教される筋合いないんですけど!」
びしっと人差し指を直斗さんの鼻先にむけて指して、左手は腰に当てる。
ちょっと格好つけてるのは自覚済み。
直斗さんは少しびっくりした顔で、私を見下ろしてた。
「それに、苦手だからって逃げんな!」
「…すみません」
「うん。じゃ、早速行こうか」
「え?でも裏方…」
「大丈夫。必要な時に必要なことをすればいいの。今直斗さんがすべきなのは、お客さんに接することだよ」
直斗さんの手首を握って、裏方から商店街のメイン通りに出る。
なんだか少しだけ新鮮だ。