私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「あれ、秋奈。何やってんだ?」

「なんでもな~い!大貴!直斗さん見回りに追加!」

「え」

「りょうーかい。お~い、早く来いよ~」

 見回りって言うか、巡回って言うか、迷子探しというか、をしてる大貴を呼び止めて直斗さんを任せる。

 直斗さんはびっくりした顔だったけど、背を押すと諦めたのか大貴に駆け寄って行った。

 それを見送って、私も店番戻るかなぁ。

「なぁ、秋奈」

「ふひゃ!?…なんだ、夏どうしたの?」

 気配なかったよ今。とは言わないでおく。

 なんか夏が深刻そうな顔してたから、冗談言ってる場合じゃなさそうだった。

 向き合って、どうしたのと首をかしげると、夏はちらっと視線を直斗さんに向ける。

「あいつに何も言われなかった?」

「え?…何にも言われてないけど」

「…ならいいや。ごめんな。ビックリさせて」

「ううん」

 夏はでんじぃに呼ばれてまた走っていく。

 今、夏なんか元気なかったような…?
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