私たち暴走族と名乗っていいですか?(上)

「秋奈~!これどうすんだ?」

「え?…あぁ!?夏ごめん忘れてた!!」

「え、なんだよそれ、秋奈ひっでぇ!!」

「ごめんってば~!」

 …慌ただしい奴。

 夏樹に駆け寄って行った秋は、ごめんと連発しながら夏が持った何かをそのまま持たせてどこかに歩いていく。

 そんな様子を見てたきよさんがなぜか険しい顔。

 …なんだ?

「あいつ、ダークホース的な何かか?」

「は?…夏樹はそういうのないと思うんすけど」

「いいや、あれも注意だな。くそ、秋奈の周り男多すぎだろ」

 その言葉はまぁ、否定できない。

 でも、夏樹は秋に対してそういうのは持たないと思う。

 秋も、あくまで気にかけてるくらいだし…。

 でも、秋が夏樹に触ろうとするのは見ててイライラするから止めてるけど。

 でも、夏樹は秋のこと、多分だけど、穢してはダメなものって思ってる。

 昔のあいつの鱗片を知ってるから、だから夏樹は秋にだけは手を出さないとなぜか確信があるんだ。
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